1級受験者必見!危機遺産の概要と頻出問題対策
今回は危機遺産に関して見ていきます。
危機遺産は文化遺産、自然遺産、その他時事問題など広い範囲で出題されるのでしっかり押さえましょう!
Contents
危機遺産の概要
まず危機遺産の概要について見ていきましょう。
危機遺産とは、「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録されている遺産のことです。
遺産数は、2023年9月時点で56遺産(文化遺産40, 自然遺産16)です。
テキストでは、冒頭の「世界遺産の基礎知識」と下巻の最後のコラムページに記載があります(2023年時点のテキスト第2版)。
どちらも試験に出る内容が載っていますので、必ずチェックしましょう!
危機遺産の条件
危機遺産に登録されるには、以下の事柄に当てはまっている場合に登録されます。
[危機遺産の条件]
1, 重大かつ明確な危険にさらされていること
2, その脅威が人間の関与により改善可能であること
3, 保全のためには大規模な作業が必要であること
4, 世界遺産条約に基づく援助がその遺産に対し要請されていること
危機遺産に登録された場合には、世界遺産委員会と協力して保全計画の作成と実行をしていく必要があります。
その中で世界遺産基金の活用、世界遺産センターや各国政府、民間機関からの財政的・技術的援助を受けることができます。
世界遺産委員会では、リアクティブ・モニタリングで毎年審議することにより、危機遺産リストに記載された遺産の保全状況を定期的に確認していく役割も果たしています。
世界初の危機遺産
最初に登録された世界遺産も頻出なので覚えておきましょう!
[世界初の危機遺産]
「コトルの文化歴史地域と自然」(モンテネグロ;1979年登録)
・1800mのロヴツェン山に挟まれた都市
・地震による被害
緊急的登録推薦
緊急的登録推薦とは、危機に直面していて緊急的に保護が必要な遺産に対し、世界遺産リストと危機遺産リストに同時に登録される方法です。
「その他編 時事問題編」でも見てきたように、最近では2023年1月に「第18回世界遺産委員会特別会合」が実施され、その特別会合にて3件の世界遺産が緊急登録されました。
[第18回世界遺産委員会特別会合で緊急登録された遺産]
1, オデーサの歴史地区(ウクライナ)
-危機遺産に登録
-賛成6か国、反対1か国、棄権14カ国で登録
-オペラ劇場などがある文化都市
2, トリポリのラシード・カラーミー国際見本市(レバノン)
-危機遺産に登録
-ブラジリアを設計したオスカーニーマイヤーによって設計
-近代化政策の旗振り
-財源不足、周囲の完全性のリスクあり
3, マリブ:古代サバ王国の代表的遺跡群(イエメン)
-危機遺産に登録
-紀元前1000年〜630年頃古代サバ王国が栄えた
-灌漑システムが大規模に作られた
-2015年〜イエメン内戦が継続しているため登録された
危機遺産の勉強方法
危機遺産の勉強方法ですが、ある程度概要が掴めたら、実際の危機遺産リストを見ていきます。ここでは頻出する特徴のある危機遺産を見ていきます。
①シリア・アラブ共和国の6つの遺産は、全て危機遺産に登録されている
②パレスチナの3つの遺産は、全て緊急的登録推薦で登録されたが、「イエス生誕の地」に関しては後に大規模な修復が評価され、危機遺産リストから脱した
③リビアの5つの遺産も全て危機遺産に登録されている
④コンゴの5つの遺産も全て登録されていたが、「サロンガ国立公園」は2021年に脱することができた
以下にも表にまとめてみたので、みて見てください。
# | 世界遺産名 | 国(地域) | 危機遺産 |
① | ダマスカスの旧市街 | シリア・アラブ共和国 | ○ |
① | 古代都市パルミラ | シリア・アラブ共和国 | ○ |
① | 隊商都市ボスラ | シリア・アラブ共和国 | ○ |
① | アレッポの旧市街 | シリア・アラブ共和国 | ○ |
① | クラック・デ・シュヴァリエと カラット・サラーフ・アッディーン | シリア・アラブ共和国 | ○ |
① | シリア北部の古代集落群 | シリア・アラブ共和国 | ○ |
② | イエス生誕の地 ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路 | パレスチナ | 2019年脱した (緊急的登録推薦) |
② | オリーブとワインの土地 | パレスチナ | ○ (緊急的登録推薦) |
② | ヘブロン: アル・ハリールの旧市街 | パレスチナ | ○ (緊急的登録推薦) |
③ | レプティス・マグナの考古遺跡 | リビア | ○ |
③ | サブラタの考古遺跡 | リビア | ○ |
③ | キュレネの考古遺跡 | リビア | ○ |
③ | タドラルト・アカクスの岩絵遺産群 | リビア | ○ |
③ | ガダミスの旧市街 | リビア | ○ |
④ | サロンガ国立公園 | コンゴ | 2021年脱した |
④ | ヴィルンガ国立公園 | コンゴ | ○ |
④ | ガランバ国立公園 | コンゴ | ○ |
④ | オカピ野生生物保護区 | コンゴ | ○ |
④ | カフジ=ビエガ国立公園 | コンゴ | ○ |
①②に関しては、中東に関する記事でも見てきましたね。まだ読んでない方はぜひ読んでみてください!
状況改善が見られリストを脱した遺産
危機遺産に登録された後に、改善が見られて危機遺産リストを脱した遺産も存在します。
危機遺産リストは、公表することで各国の協力を仰いで危機から脱却させる役割を持っているので、それが果たされたということですね。
以下は頻出する一例になりますので、Wikipediaなどで最新情報をチェックしましょう。
世界遺産名 | 国 | 脱退年 |
ハンバーストーンとサンタラウラの硝石工場群 | チリ | 2019 |
ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区 | ベリーズ | 2018 |
イエローストーン国立公園 | アメリカ | 2003 |
ガラパゴス諸島 | エクアドル | 2010 |
ムツヘタの歴史的建造物群 | ジョージア | 2016 |
シミエン国立公園 | エチオピア | 2017 |
世界遺産リストから抹消された遺産
世界遺産として保護されていく中でも、世界遺産であるための「普遍的価値」が損なわれることがあります。
「普遍的価値」が復旧する見込みのないと判断された遺産は、残念ながら世界遺産リストから抹消されることがあります。2023年現在、以下3つの遺産が抹消されました。
世界遺産名 | 国 | 抹消年 | 理由 |
アラビアオリックスの保護地区 | オマーン | 2007 | ・天然資源採取のため保護地区を90%削減したため ・危機遺産リストに掲載されることなく抹消 |
ドレスデン・エルベ渓谷 | ドイツ | 2009 | ・2006年に危機遺産リスト入り ・利便性を優先し、近代的な橋を建設したことにより景観破壊が起こったため |
リヴァプール海商都市 | イギリス | 2021 | ・2012年に危機遺産リスト入り ・再開発による景観悪化のため |
※こちらにまとめているのは、私が受けた2023年時点なので最新情報に関してはテキストでご確認下さい。
まとめ
今回は危機遺産について見てきました。
テキストもよく読んで頂き、まとめとして上記の内容をぜひ参考にしてください。
[危機遺産の勉強方法まとめ]
・先ずは概要を押さえる
・特徴のある危機遺産(国)から覚える
・危機遺産リストから脱した遺産も覚える
・世界遺産リストから抹消された遺産も覚える
・Wikipediaに最新情報が載っているため参考にする
次回も頻出テーマに関して投稿しますので、ぜひ参考にしてみて下さい!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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