世界遺産検定直前!登録はされる?佐渡島の金山の現状とこれから
日本人として今年の世界遺産委員会といえば、注目は佐渡島(さど)の金山ですよね。
7月に行われる世界遺産委員会にて、登録されることを期待しています。
時事問題として、今年の世界遺産検定にも出題されることが予想されますので、本日は直前対策として佐渡の金山を見ていきましょう。
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登録基準は(ⅳ)。(ⅲ)は認められなかった!?
佐渡島の金山の登録基準としては、(ⅳ)として審査中となります。
[佐渡島の金山の登録基準]
ⅳ, 採掘から小判製造まで、高純度且つ世界最大級の生産量の金を算出する独自の高い生産技術
当初は、(ⅲ)(ⅳ)を登録基準として申請していました。
(ⅲ)は文化的伝統や文明・時代の照明に関する評価であり、佐渡島の金山は「金の生産組織の管理と運営・鉱山の経営などの体制、また鉱山由来の伝統文化や信仰・祭祀が盛んだったこと」を遺産価値として申請しました。
しかし、(ⅲ)に関して証明が不十分であり、(ⅳ)のみが認められることになりました。
佐渡島の金山の構成資産は?
世界遺産として申請されている構成資産を見ていきます。
佐渡島の金山は、「西三川砂金山」と「相川鶴子金銀山(相川金銀山(道遊の割戸)と鶴子銀山)」の2つのエリアによって構成されるシリアル・ノミネーションサイトです。
【佐渡島の金山の構成資産】
①西三川砂金山
「大流し」の技術:独自の技術。砂金を含む山の斜面を掘り崩し、導水路で引いた水の勢いで余分な土石を洗い流し、残った砂から砂金を取り出す技法。
②相川鶴子金銀山
1, 相川金銀山(道遊の割戸)
2, 鶴子銀山
江戸時代に、金の採掘から小判製造までの一連の金生産工程において、独自の高い技術と世界最大級の金の生産量を誇った鉱山遺跡です。当時鎖国政策をとっていたため、ヨーロッパなどの海外からは技術の影響を受けず、佐渡金山独自の技術となりました。
2022年に推薦書提出…2023年に調査がされなかった
佐渡島の金山の推薦書は、2022年2月1日に提出されました。通常2月1日までに推薦書を提出されると、翌年に諮問機関が調査をします。
しかし、2023年は調査されることはなかったのです。。
実は世界遺産センターからICOMOSに推薦書が送付されなかったのです。これまでに推薦書が送られなかったことはなかったそうなので、結構ショッキングな内容ですよね。
理由としては、完全性に不足があったのでは、と言われています。完全性とは、それぞれの遺産がその価値を証明するために必要な要素を網羅しているかどうか、でしたよね。
西三川砂金山の砂金の採取に必要な「江道(導水路)」に関して、推薦書では「途中で途切れている部分も含めて構成資産の一部だ」としたのに対し、ユネスコ側は「地理的に途切れている部分の記載が不十分だ」と判断されたそうです。土砂崩れの影響という説明も受け入れられず、この理由によりICOMOSに送付されなかったのではと言われています。
ここで思い出していただきたいのが、基礎知識で出てくる「アップストリーム・プロセス」という考え方。2015年の世界遺産委員会で採用が決定された概念で、諮問機関等と資産について相談や助言が受けられるというものです。両者の意識の食い違いをなくすために使えるのですが、こちらが使われていなかったのかもしれません。
2024年 ICOMOSの見解、勧告とこれから
2024年6月初旬、文化遺産の諮問機関であるICOMOSから、佐渡島の金山へ勧告が出されました。
これは世界遺産委員会が始まる6週間前までに出されるもので、通常のプロセスの一部になります。
今回出された勧告としては、「情報照会」です。登録基準(ⅳ)として佐渡独自の金の生産技術は認められましたが、追加で情報や対応を求める、という勧告になります。
【求められた追加の対応】
①完全性・真正性の基準を満たすために、相川鶴子金銀山に関して相川上町の北沢地区を世界遺産エリア(プロパティ)から外して、緩衝地帯(バッファーゾーン)とすること
②相川鶴子金銀山に関して、資産を保護するため緩衝地帯(バッファーゾーン)を沖合まで拡張すること
③世界遺産範囲内での商業採掘を今後再開しないこと
通常「情報照会」勧告を受けた遺産は、翌年以降の世界遺産委員会で審議を受けることが可能ですが、2024年7月21日から行われる世界遺産委員会にて「登録」されることも可能性としては残っているため、日本政府はそれを目指していくようです。
明日は世界遺産検定ですね!熱中症にも気をつけて、自信を持って最後まで諦めずに臨んでください。